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zoom RSS 月刊ポエム3月号「流行」

<<   作成日時 : 2013/03/10 07:27   >>

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新学期の教室はいつになくざわついていた。半島の小学校は一学年が
2クラスしかない。生徒のほとんどがずうっと遊び仲間なので、親戚みた
いに近しい。ところがそこに小石が投げ込まれたのだ。

「転校生がくるってよ」
もう親から聞いて知ってる話だったが、うんうんと大きくうなずいてみ
せる。
「どんな奴だろうな」
僕はめいっぱいの不安を言葉に込めた。しかしなぜか胸がわくわくして
いる。それは周囲も同じらしい。どいつもこいつも、目がくりくりとし
ているのがその証拠だ。

がらっと音がして、教室の戸が開いた。みんなの目がいっせいにそっち
を見る。
細長い先生のシルエットに隠れるようにして、そいつは入ってきた。お
かっぱ頭が真っ白なブラウスの上で俯いている。

「女かあ」
後ろからささやき声が漏れる。そう、転校生は女生徒だった。僕も
ちょっとだけがっかりした。このクラスは男子と女子がめいっぱい対立
していて、ほとんど口をきかない。だから僕がこのおかっぱ頭に自分か
ら声をかけることは、たぶんない。

「お父さんのお仕事の都合で、トウキョウから転校してきたシミズさん
です」
先生の説明にうひょーっと驚きの声があがった。僕も自分の耳を疑う。
トウキョウ、つまりあの東京からやってきた?

僕は改めて、おかっぱ頭を見た。ブラウスがやけに真っ白で、濃い緑の
スカートはこれまた少し光がキラッている。というか、転校生の小柄な
全身がなぜかちかちかまぶしい。

「シミズサヤカです。よろしくお願いします」
型通りの挨拶をして、ぺこっと頭を下げると、先生は副委員長エミの隣
りの席に案内した。そのままふつうに授業が始まる。

しかし、僕はしばらく呆然としていた。
おかっぱ頭の型通りの挨拶は、決して型通りではなかったからだ。
「おい、今の聞いたか?」
同じことを思ったらしい後ろから背をつつかれた。
「うん、発音が違ったな」
「シがシだったぞ」
「うん、あれはテレビで聞くシと同じだったなあ」

半島生まれの僕らは、さ行がシャシュイシュシェショと濁る。しかしお
かっぱ頭はそれがなかた。東京ではシはシと発音するのだ。
予想通り、僕はおかっぱ頭とほとんど話す機会はなかった。しかし、
さ行を濁らせない彼
女の発音は、一気に広まり、クラスの流行となったのだった。

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         今月のテーマ素材:  [流行]

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      [今月の巻頭詩]


流行語

実希

生まれては消えていく
たくさんの言葉たちに
動いて行く世界と
取り残されがちな自分を感じる

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   ▽△▽△  4 行 詩 の 展 覧 会  △▽△▽ 

         テーマ素材 「 流行 」

   流行語 〜人それぞれの標準語〜 ‥‥‥‥‥‥ 作詩屋
   つかの間の花 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ aoi
   流行り ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 森静野
   流行語 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 実希
   流行 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 叙朱

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 ●作品表示の凡例 (作品は投稿順に並べてあります)
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タイトル
 4行詩本文
 あとがき
ペンネーム
投稿日時
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流行語 〜人それぞれの標準語〜

 聞き覚えのない言葉を耳にすると
 流行りの言葉かと錯覚してしまう
 業界で使う専門用語でもないのに
 彼にとっては標準語になっている

作詩屋
2013/02/11 12:02
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つかの間の花

 流行はだれがつくるの
 春風のように生まれて
 秋風のように消えるの
 一年草が見ている間に

aoi
2013/02/19 04:05
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流行り

 自分の生活に流行りあり
 飲み物 食べ物 生活習慣
 十年前の自分の日記は
 もう他人のことのようだ

(あとがき)
 今の流行りは「早起き出勤」。

森静野
2013/03/03 01:41
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流行語

 生まれては消えていく
 たくさんの言葉たちに
 動いて行く世界と
 取り残されがちな自分を感じる

実希
2013/03/05 23:13
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流行

 ちょっとした仕草の違和感や
 会話に挟まれる小さな間(ま)
 それは何かに気づかせようとしてる
 グラビアからのヘアカットだったりする

叙朱
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[記録室]
投稿全作品数:5
推薦詩:5
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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 編集室から ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

急に暖かくなってきました。北日本は猛吹雪で大変なことになっていま
すが、太平洋側は一足早い春のようです。この時期、話題になる桜戦線
も東京3月23日と去年より一週間くらい早くなりそうです。

今月は「流行」というテーマでした。巻頭には実希さんの「流行語」を
選びました。言葉は時代とともにどんどん変わっていく、特に流行語と
呼ばれるものは知らない者には疎外感を残しますが、しかしいずれ消え
るという一過性のはかなさも持っているのかもしれません。

     4月号のテーマ素材は「羽化」

羽化(うか)とは、昆虫が、幼虫または蛹から成虫に脱皮・変態するこ
と。 昆虫の羽(はね・正しくは翅)はほぼ全ての昆虫に見られる、昆
虫独自の構造である。昆虫において完成した翅は成虫にしか見られない
ことから、成虫になるときの脱皮を特に羽化というのである。
(出典 Wikipedia)


4月号の発行予定は4月7日です。気温の上昇とともに花粉がすこい
勢いで飛散しているようです。どうぞ花粉対策はしっかりと。

                      編集人 ジョッシュ

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 メールマガジン: 詩とエッセイの月刊ポエム3月号
     発行日: 2013年3月10日(通算190号)
   総発行部数: 約200
     発行元: mbooks(ジョッシュ)
ブログ形式になりました → http://4poem.at.webry.info/
     連絡先: prn81060_mbooks2アットyahoo.co.jp
          (アットを@マークにして送信ください)
     著作権: 著作権はmbooksおよび各作者にあります。 
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