詩とエッセイの月刊ポエム

アクセスカウンタ

zoom RSS 月刊ポエム12月号「瑠璃色」

<<   作成日時 : 2013/12/01 07:20   >>

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

画像

            「瑠璃色」

ぼんやりと夜が明けてくる。交代勤務明けの帰り道をふたり並んで早足
で歩く。漆黒に沈んでいた町並みが、瑠璃色に変わる空を背景にゆっく
りと輪郭をあらわにしてくる。

「寄っていこうか」
どちらからともなくつぶやく。常連となった終夜営業の店は高架橋の向
こう側だ。異論はない。朝の早いトラックが高いエンジン音で吼えなが
ら橋の下を走りぬける。いつもの朝だ。
「おい、あれを見ろよ」
いや、いつもの朝ではなかった。高架橋の真ん中あたりに後姿の人影が
ある。
「ねえ、やめなさいよ」
人影は背をかがめ、高架の手すりから乗り出すようにしていた。
「ねえ、お願いだから」
語尾が震えている。私たちは駆け出した。足音に気づいた人影が振り返
る。老女だった。
「どうしたんですか?」
私たちの問いかけに、老女は手すりの下を指差す。

大型トラックがまたひとしきり大きな声で吼える。クラクションで警告
しているのだ。その理由は明らかだった。手すりの外に男がいた。高架
のストラクチャに両手でしがみつくようにして、道路を見下ろしている。
老女は手に持っていた箒で手すりをばんばんと叩く。男の肩がぴくりと
動いた。
「何があったか知らないけど、死んでどうするの」
老女は涙声だ。しかし、私たちは顔を見合わせるだけで、かける言葉が
見つからない。
「おい」
携帯電話を取り出す。それを見て、老女がうなずいた。
「おまわりさんね。はやく呼んで!」
いや、違うんだ。心の中でそう応えると、短縮ダイヤルをプッシュする。
呼び出し音が1回で、すぐに相手が出た。事情を手短に話すと、電話は
あわただしく切れる。

高架から見る町並みはいつもどおりだ。朝の青が強く滲んだマジックタ
イム。まるでファンタジー映画の一場面のような。しかし、白々とした
朝日が美しい青を容赦なく薄め溶かして、現実の醜さだけを際立たせる。
やっぱりいつもの朝だ。

----------------------------------------------------------------

         今月のテーマ素材:  [瑠璃色]

----------------------------------------------------------------

          [今月の巻頭詩]

      ワインボトル

      冷凍パスタと安ワイン
      一人で過ごす秋の夜長
      白髪の増えた青年と
      鈍い瑠璃色のワインボトル

      動物病院
      2013/11/04 22:40

----------------------------------------------------------------

   ▽△▽△  4 行 詩 の 展 覧 会  △▽△▽ 

         テーマ素材 「 瑠璃色 」

  ワインボトル ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 動物病院
  青の時代 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ サヨナキドリ
  無題 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ nano
  瑠璃色 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 森静野
  イルミネーション ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 実希

 ●作品表示の凡例 (作品は投稿順に並べてあります)
----------------------------------------------------------------
タイトル
 4行詩本文
 (あとがき)
ペンネーム
投稿日時
----------------------------------------------------------------
ワインボトル

冷凍パスタと安ワイン
一人で過ごす秋の夜長
白髪の増えた青年と
鈍い瑠璃色のワインボトル

動物病院
2013/11/04 22:40
----------------------------------------------------------------
青の時代

君の名前に似てる色
色の名前に似てる君
僕の頭のキャンバスは
青一色に染まるのだった

サヨナキドリ
2013/11/06 10:05
----------------------------------------------------------------
無題

瑠璃色それは
幼い日に遊んだ
シャボン玉の中の
小さな宝石の色

nano
2013/11/15 00:07
----------------------------------------------------------------
瑠璃色

「瑠璃色」を間違って覚えていた
誰かが空の色というもので
ミカン色の夕焼けを思っていた
「瑠璃色の中の君」の情景を訂正

(あとがき)
思い違い。なぜか暖色系のイメージあり。

森静野
2013/11/27 07:30
----------------------------------------------------------------
イルミネーション

キーンと冷えた空気の中
冴え冴えと輝く瑠璃色の光が
凍えた心と身体を
暖かく包んでいく

実希
2013/11/30 23:43
----------------------------------------------------------------
[記録室]
投稿全作品数:12
推薦詩:5
----------------------------------------------------------------

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 編集室から ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

こんにちは。お変わりありませんか。
テキスト版月刊ポエムは次回号で通算200号となります。途中、休刊
や形式変更などいろいろありましたが、ここまで続けられるとは自分自
身まったくの予想外でびっくり。これも投稿していただいたみなさんの
気持ちに支えられた結果だと思っています。これからどこまで続くかわ
かりませんが、今後もどうぞよろしくお願いいたします。

さて今月のテーマ素材は「瑠璃色」でした。日ごろあまり接することの
ない色なので、かなり苦労されたようです。巻頭詩には動物病院さんの
「ワインボトル」を選びました。おそらく夜、アパートの一室でひっそ
りと食事をする青年に瑠璃色のワインボトルはよく似合っていると思い
ました。森静野さんの「瑠璃色」に対する思い違い。歌やドラマのタイ
トルにはよく使われる色なんですが、案外そんなものかも、と笑えます。

新年1月号のテーマ素材は「ロケット(Rocchetta)」です。

ロケット(英: Rocket)は、自らの質量の一部を後方に射出し、その反
作用で進む力(推力)を得る装置(ロケットエンジン)、もしくはその
推力を利用して移動する装置。原理上、真空中でも推力を得ることがで
きるため、主に宇宙空間での移動手段として使われている。また、ミサ
イルの動力として軍事的に利用される場合も多い。(出典:Wikipedia)

新年1月号の配信は1月5日、投稿締め切りは1月4日です。
投稿をお待ちしています。

                    編集人 ジョッシュ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
 メールマガジン: 詩とエッセイの月刊ポエ12月号
     発行日: 2013年12月1日(通算199号)
   総発行部数: 約200
     発行元: mbooks(ジョッシュ)
          http://www2c.biglobe.ne.jp/~joshjosh/
     連絡先: prn81060_mbooks2アットyahoo.co.jp
          (アットを@マークにして送信ください)
     著作権: 著作権はmbooksおよび各作者にあります。 
          転載や引用は必ず事前にご相談ください。
   登録・解除: 各メルマガの配信元でお願いします。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
参加してます→ にほんブログ村 ポエムブログ 詩集へにほんブログ村

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
月刊ポエム12月号「瑠璃色」 詩とエッセイの月刊ポエム/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる