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zoom RSS 月刊ポエム11月号「流星」

<<   作成日時 : 2015/11/08 07:27   >>

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流星

「少しだけでいいから、カーテンを開けてほしい」
か細い声で哀願するきみに、私は力なく頭を振る。シーツが小刻みに震
えている。私は唇を噛んでいる。もっと話したいことがたくさんあった
はずなのに、舌は乾き、脳みそは空回りするだけだ。せっかくもらえた
面会時間を私は黙って無駄にしている。

「ちょっとだけでいいから、外の景色が見てみたいの」
きみは繰り返す。淡いベージュのカーテンは狭い部屋の天井から床まで
垂れていて、ベッド脇のボタンを押せば開閉する。おそらくかつては自
分で操作していたのだろう。昼も夜もない単調な毎日にも、おそらくか
つてカーテンを開くという自由はあったのだろう。それがどんなに遠い
昔だったか、私には想像できない。いや、そんなことは知りたくもない。
確かなのは、きみにその自由はもう与えられていない。

「ねえ、カーテンの向こうに、まだ星空はあるのかしら」
吐息混じりに難しいことを訊くきみ。私は答えを持ち合わせていない。
なぜなら私だって知らないのだ。カーテンの向こうがどうなってるのか。
いや、そもそも淡いベージュのカーテンの向こうに、何かがあるのかさ
え曖昧だ。おそらく何もない。かつてカーテンは窓という壁にあいた穴
から侵入してくる太陽線をさえぎるものだったらしい。それがいつから
か、役割を変えてしまった。

「あ、流れ星。きれい」
目を閉じてるきみがうっすらと笑った。なぜだか、きみにだけは見えて
いるらしい。私の知らない星空が。そして流れ星? 見たこともないも
のをイメージ化するのは不可能だ。だから、私の脳裏にはなにも映らな
い。少しの悔しさに、きみの笑顔への安堵が混じり、私の気持ちは星雲
のように渦を巻く。うん? 星雲? 青紫の海に散らばる乳白色のきら
めきが見える。いくつかは私に向かって、小さく尾を引いて近づき、消
える。
「流れ星?」
「そうよ」
きみは相変わらず目を閉じていて、私の触手はゆるゆるとカーテンのボ
タンを探し始める。

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         今月のテーマ素材:  [流星]

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          [今月の巻頭詩]

      失恋

      傷あとは
      夜空に何も残さない流れ星みたいに
      消えてしまう
      すぐに消えてしまうと 思っていた

      タイム
      2015/11/02 22:58

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   ▽△▽△  4 行 詩 の 展 覧 会  △▽△▽ 

         テーマ素材 「 流星 」

  流星 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ チビ○
  秋の流星群 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ サヨナキドリ
  失恋 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ タイム
  都会 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 実希

 ●作品表示の凡例 (作品は投稿順に並べてあります)
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タイトル
 4行詩本文
 (あとがき)
ペンネーム
投稿日時
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流星

一瞬のきらめき
願い事とともに飛んでいく
その後は
神様のご機嫌次第

チビ○
2015/10/16 12:11
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秋の流星群

楓や紅葉が色付いて
そっと川面を流れてく
流れ星では間に合わない
願いも聞いてくれるかな

サヨナキドリ
2015/10/23 17:29
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失恋

傷あとは
夜空に何も残さない流れ星みたいに
消えてしまう
すぐに消えてしまうと 思っていた

(あとがき)
遠い昔、初めての失恋

タイム
2015/11/02 22:58
----------------------------------------------------------------
都会

満天の星空を見上げて
流れ星を探した幼い日
明るすぎて星も見えない街で
遠い日を懐かしみ夜空を見上げる

実希
2015/11/07 23:50
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[記録室]
投稿全作品数:7
推薦詩:4
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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 編集室から ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

来年サミットが行われる予定の伊勢志摩に一泊二日で行ってきました。
平日でしたので、列車も宿もちょっとだけ立ち寄ったスペイン村も観光
客がまばらで、のんびりできたのですが、さすがに志摩半島のあたりは
入り江と小島とカキ網が、まるで絵葉書そのもの。特に沈む夕日は息を
呑むほどでした。また行ってみたいと思っています。

さて、今月のテーマ素材は流星でした。巻頭詩にはタイムさんの「失恋」
を選びました。頭では割り切れても恋の痛手はなかなか手ごわいもの。
流星のようにさっと無くなってくれれば楽なんでしょうが。実希さんの
「都会」は、数々の照明に明るい都会ではたしかに、星降る夜は体験で
きません。空気の澄んだ秋に早起きしたら、ほのかにオリオン座が確認
できるくらいでしょうか。

2015年も残りわずか。来月(12月)号のテーマ素材は、「家路」
Homewardです。仕事先からの帰り、帰省での実家への帰り道、あなたは
なにを思いますか。あなたの家路をたどるときの心象を四行詩でお寄せ
ください。

12月号の配信は12月6日(日)、投稿締め切りは12月5日(土)
です。4行詩の投稿をお待ちしています。

                    編集人 ジョッシュ

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 メールマガジン: 詩とエッセイの月刊ポエム11月号
     発行日: 2015年11月8日(通算222号)
   総発行部数: 約200
     発行元: mbooks(ジョッシュ)
          http://www2c.biglobe.ne.jp/~joshjosh/index.html
     連絡先: prn81060_mbooks2アットyahoo.co.jp
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