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zoom RSS 月刊ポエム2月号「ラジオ」

<<   作成日時 : 2017/02/05 10:06   >>

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☆ラジオ

ラジオは不思議な箱だ。乾電池を一個だけ飲み込むと、部屋の片隅、本棚の上にじっとあって、何も語らない。そこにあることを部屋の主が忘れていても平気だ。ただじっとしているだけ。そして稀に部屋の主が友人を連れて帰宅した時に、それが深夜を過ぎた頃だったら、つまりリモコンでつけた液晶テレビが真っ白だったときなのだが、ようやくラジオが脚光を浴びる。部屋の主は細いきれいな指で、不思議の箱を取り上げる。ラジオは孤独だ。テレビみたいに壁とワイヤで繋がっているわけではなく、DVD再生機とも仲良くない。ラジオは小さめの箱として存在しているだけで、テレビみたいに重くもない。だから、本棚の上からひょいと取り上げられて、ベッド脇のナイトテーブルに置かれても、じっとしている。黒いボリュームつまみを回すと、最初にかちっと微かな音がする。ラジオが目覚めたのだ。選局パネルがオレンジ色に光り、AMの文字が黒く浮かび上がる。内蔵されたアンテナが指示された周波数を探して、部屋中をスキャンする。いつものことだが、マンションの鉄筋コンクリートは、電磁波を減衰させる。特に深夜はそうだ。ようやく目当ての電波を探り当てるが、その波形には不規則な振動が混じっている。がーがー。高性能のスピーカからは雑音しか出てこない。部屋の主は外したばかりの腕時計を見て、首を傾げている。期待した音が出てこないのだ。黒いつまみを回す。雑音が大きくなり、その向こうで誰かが喋っている。友人が大きな声を出した。笑っている。腕を伸ばしラジオを掴むと向きを少しずつ変えている。ラジオはナイトテーブル上で居住まいを正す。がー、がー、こちらはニッポン、ニッポンから海外に、がー、がー。部屋の主と友人は体を寄せ合い、ラジオを凝視している。身動きせずに、耳に気持ちを集中して雑音混じりの放送に聞き入っている。床には飲みかけの缶ビール、そしてピスタチオの殻が散らばり、友人は部屋の主の肩を抱く。きっかりと15分、ラジオは頻発する高齢者の交通事故、外人研修生の行方不明事件、プロ野球と大相撲の結果を駆け足で伝え、最後に東京は晴れと言って、黙り込んだ。雑音だけが部屋に残る。しばらくふたりはじっとしている。


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☆今月の巻頭詩☆

老母

首から下げたラジオと
毎日を過ごす母は
世の中の出来事を
いろいろと教えてくれる

実希
2017/02/05 00:22
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☆4行詩の展覧会「ラジオ」

深夜放送 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ チビ○
老母 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 実希


●作品表示の凡例 
(作品は投稿順に並べてあります)
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タイトル
4行詩本文
(あとがき)
ペンネーム
投稿日時
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深夜放送

夜空を行き交う電波
指先に神経を集中させる
チューナーが捕まえる
楽しい時間の始まり

(あとがき)
昭和のお話です・・・か?

チビ○
2017/01/23 16:27
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老母

首から下げたラジオと
毎日を過ごす母は
世の中の出来事を
いろいろと教えてくれる

(あとがき)
いくつになっても教えられる事ばかりです。

実希
2017/02/05 00:22
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[記録室]
投稿全作品数:4
推薦詩:2
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◇ 編集室から ◇

こんにちは。立春を過ぎましたがまだまだ寒い日が続いています。横浜も風が強い日が続き、気温より体に感じる風の冷たさはまだまだ冬。いかがお過ごしでしょうか。

2月号のテーマ素材は「ラジオ」でした。巻頭詩には実希さんの「老母」を選びました。ラジオ放送が楽しみで生きてきた世代にとって、ラジオは特別なものだと思います。ネットで玉石混合の情報があふれる昨今ならこそ、ラジオは心が落ち着きます。チピ○さんの「深夜放送」はまさにラジオを聴きながら一夜漬け勉強していた自分には共感しきりでした。

さて、3月号のテーマ素材ですが「追いかける(Chase)」です。卒業や異動など3月は別れのシーンが多い季節です。また新年度に向けていろんなことが慌しく動き、ボーっとしてると置いてきぼりになりそうと焦ることも。追いかける、追いかけたい。そんなあなたの思いを四行詩でお寄せください。

3月号の配信は3月5日(日)、投稿締め切りは3月4日(土)です。
4行詩の投稿をお待ちしています。

編集人 ジョッシュ
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メールマガジン:詩とエッセイの月刊ポエム2月号
発行日:2017年2月5日(通算239号)
総発行部数:約200
発行元:mbooks(ジョッシュ)
http://www2c.biglobe.ne.jp/~joshjosh/index.html
連絡先:prn81060_mbooks2アットyahoo.co.jp
(アットを@マークにして送信ください)
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