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zoom RSS 月刊ポエム4月号「ルーキー」

<<   作成日時 : 2017/04/09 07:47   >>

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☆ルーキー

初めての駅を降りた。改札で切符を渡して、ガード下をくぐり駅前通りを渡る。教えられたとおり、小さな商店街の路地を抜けると大きな団地が幾重にも並んでいた。5階建ての上、四月の空は晴れている。
「久しぶりのルーキー、期待してるよ」
電話越しの声がよみがえる。
「歳が歳ですから、ルーキーとは気恥ずかしいです」
今でも戸惑いが残っている。団地脇を抜ける遊歩道を急ぎ足でたどりながら、重心の定まらない自分の気持ちを少し持て余す。しかし、決めたのは自分自身なのだ。誰にも相談せず、20年以上勤めた仕事をあっけなく放り出してしまった。3ヶ月前、電話口で迷いなく「はい」と頷いた。それからの嵐のような日々。職場の先輩たちの慰留やら叱責やら、同期の友人たちは揃って「いったい何が不満なんだ」と口を尖らせた。繰り返し尋ねられても、ついにまともな答えはひとつも用意できなかった。
初めての転職。しかも、40歳をとうに過ぎている。
「大丈夫かお前、騙されてるんじゃないか」
長年の友人は暗い顔をしていた。面談は都内のホテルで、その後は電話のやりとりで決めた。そんな話に友人は首を何度も傾げた。「心配するな、ホームページには立派な社屋がでていたよ」取り繕った私に友人は力なく頭を振った。
団地脇を抜けると大きな通りに出る。外車のショールームがあるから、その角を右に曲がりこむと当社が見えます。
電話番の女性がそう教えてくれた。横断歩道が青になった。大きなガラス張りの建物を通り過ぎ、右を見る。新しい勤め先の看板が見えた。白塗りの建物が朝日を浴びて光っている。まるで私に微笑むように。ほーっと息をひとつ吐いて、私は角をゆっくりと曲がる。

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☆今月の巻頭詩☆

キャンバス

何を描けば良いのかを
悩めるからこそ面白い
そう気づかされるのは
余白が全て失われた時

作詩屋
2017/03/20 23:33
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☆4行詩の展覧会「ルーキー」

キャンバス ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 作詩屋
新人さん ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ チビ○
ルーキー ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 森静野

●作品表示の凡例 
(作品は投稿順に並べてあります)
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タイトル
4行詩本文
(あとがき)
ペンネーム
投稿日時
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キャンバス

何を描けば良いのかを
悩めるからこそ面白い
そう気づかされるのは
余白が全て失われた時

作詩屋
2017/03/20 23:33
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新人さん

間違えて身に付くタイプ
石橋を叩いて渡るタイプ
何がやりたくて何が出来る
周りの期待を背負う張り詰めた背中

(あとがき)
新人さんを迎える側も緊張しますよね・・・

チビ○
2017/04/01 09:45
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ルーキー

ベテランでいても
気持ちはルーキー
不安がなくなることはない
毎朝勇気をかき集めるルーキー

(あとがき)
時代は常に変化。そこでは気持ちは常にルーキーで。

森静野
2017/04/02 09:23
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[記録室]
投稿全作品数:5
推薦詩:3
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◇ 編集室から ◇

暖かくなりました。近所の桜もひと息に満開で、花見でにぎわっています。そしてこの季節、もうひとつ招かれざるもの、スギ花粉が目いっぱい飛び回っていますが、お変わりないでしょうか。

今月のテーマ素材は「ルーキー」でした。巻頭詩には作詩屋さんの「キャンパス」を選びました。始めたときの苦しみがやがて楽しい思い出に変わる。創作の世界はいつもそんな感じです。チピ○さんの「新人さん」はまさに目の前の新人たちへのやさしい目線、森静野さんの「ルーキー」は鏡に映る自分自身へのやさしい目線を感じます。

さて、来月5月号のテーマ素材ですが「昨日、Yesterday」です。目の前の時間も過ぎていつかは昨日になる。過ぎた時間は決して取り戻せませんが、思い返すことで嬉しさを追体験したり、思いを暖めたり、あるいは痛い後悔を未来への糧にしたり。あなたのそんな昨日にひとコマを切り取って、4行詩でお寄せください。

5月号の配信は5月7日(日)、投稿締め切りは5月6日(土)です。
4行詩の投稿をお待ちしています。

編集人 ジョッシュ
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メールマガジン:詩とエッセイの月刊ポエム4月号
発行日:2017年4月9日(通算241号)
総発行部数:約200
発行元:mbooks(ジョッシュ)
http://www2c.biglobe.ne.jp/~joshjosh/index.html
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